肩こりには「やさしい刺激」を、痛みや可動域も改善

 頑固な肩こりにはやさしい刺激が効くらしい。

 東京都健康長寿医療センター研究所の研究チームはこれまで動物実験などで、皮膚へのやさしい刺激が脊髄のオピオイド受容体を活性化させ、痛み刺激の信号を妨害することを報告してきた。

 オピオイド受容体は体内麻薬のエンドルフィンや医療用のモルヒネなどと結合し、痛みの緩和作用を発揮させる。研究チームは慢性的な肩こりの痛みにも皮膚刺激が有効だと仮定し、これを検証した。

 12人の慢性的な肩こりに悩む成人(平均年齢47歳、女性7人)に、日本の小児鍼灸にヒントを得て企業と共同開発した「マイクロコーン」という医療機器で、2週間のセルフケアを試みてもらった。

 マイクロコーンは直径7ミリのディスク内に柔らかい樹脂でできたコーンが0.4ミリ間隔で整然と配列されており、その数はおおよそ180個。ディスクを患部に貼り付けると普段の生活動作でコーンが振動し、皮膚におだやかな刺激を送り続ける仕組みだ。

 参加者は事前にディスクを貼る方法と場所の指導を受け、1日最大8枚、8カ所(左右の肩と首のどこにでも)を毎日貼り続けた。貼付時間は12時間としたが、痒みなどの皮膚トラブルがなければ、貼り続けてもよいこととした。

 試験開始時と2週間後で主観的な症状を比べると「痛み」の平均スコアは6.9(数値が高いほど痛い)から2.3まで低下。「不快感」は7.4から2.3へ、「動かしにくさ」は6.0から2.0へと有意に改善されていた。

 理学療法士が客観的に評価した肩甲骨や肩関節などの可動域も、セルフケア前後でおおむね改善。特に五十肩で悩まされる首の曲げ伸ばしや肩を回す動作は、通常の動きにまで回復した。やさしい刺激が、筋の過緊張を誘発する神経反射をうまく抑えたらしい。

 一方、かぶれや痒みなどのトラブルは認められなかった。

 患部に手をあててもらい、痛みや緊張がほどけた経験は誰しもあるだろう。肩こりにはマッサージや鍼灸が定番だが、強い刺激や鍼が怖い人には皮膚への「やさしい刺激」がいい代替案になりそうだ。

(取材・構成/医学ライター・井手ゆきえ)