アドビが画像生成機能およびテキストエフェクトを中心とした、クリエイティブなジェネレーティブAIモデル「Adobe Firefly」を発表。Fireflyはアドビのクラウドアプリケーションを横断する新しいAdobe SenseiのジェネレーティブAIサービスシリーズの一部となる予定。

10年以上に渡るAIイノベーションの歴史を持つアドビ

アドビは10年以上にわたるAIイノベーションの歴史を持っており、Adobe Senseiを通じて何百ものインテリジェントな機能をアプリケーションに提供 をしてきた。例えば、Adobe Photoshopの「ニューラルフィルター」、Adobe After Effectsの「コンテンツに応じた塗りつぶし」、Adobe Experience Platformの「アトリビューションAI」、Adobe Acrobatの「Liquid Mode」などの機能で活用されている。

アドビのデジタルメディア事業部門代表のデイビッド ワドワーニ(David Wadhwani)氏は「ジェネレーティブAIは、AIによるクリエイティビティと生産性の強化を次のステージに進化させ、クリエイターとコンピューター間の会話をより自然で、直感的で、パワフルなものへと変容させます。アドビはFireflyにより、ジェネレーティブAIを搭載した『クリエイティブのみなもと』をユーザーのワークフローに直接導入し、ハイエンドクリエイターから、引き続き盛り上がりを見せているクリエイターエコノミーまで、すべてのクリエイターの生産性とクリエイターの表現力を引き出します。」と述べている。

Adobe Fireflyのプライベートベータ版を公開。今後はアプリケーションへの統合を予定

アドビは、Fireflyをすべてのクリエイターが自分の想像力そのままのスピードで創作活動ができるよう設計。経験や才能に関係なく、自身の言葉を使い思い描いた通りのコンテンツをこれまで以上に簡単かつスピーディに生成できるようになるとしている。また、アドビのツールやサービスにFirelyを直接搭載することで、ユーザーは既存のワークフローの中で気軽にジェネレーティブAIを活用できるようになる。

Adobe Fireflyのプライベートベータ版は既に公開されており、今後Adobe Express、Adobe Experience Manager、Adobe Photoshop、Adobe IllustoratorでFireflyが利用できるように計画を進めている。

Firefly 紹介動画(アドビ公式YouTubeチャンネルより)

将来的にFireflyは複数のモデルで構成され、さまざまなスキルセットや技術的バックグラウンドを持つユーザーの幅広いユースケースをカバーできるように調整される。また、最初に搭載されるモデルはAdobe Stockの画像や一般に公開されているライセンスコンテンツや著作権が失効しているパブリックドメインコンテンツを対象としているため、商業利用として安全性を考慮したコンテンツを生成するように設計されている。

クリエイターの制作効率の向上のみならず、収益化まで検討

アドビはクリエイターが自身のスキルや創造性から恩恵を受けられるようにジェネレーティブAIを設計。今後需要の高まりによるクリエイターへの負荷を軽減するために、ジェネレーティブAIを活用した迅速でスマートかつ便利に作業ができるソリューションを提供するとしている。その中には、ユーザーが所持している画像やマーケティング資料などでFireFlyをトレーニングし、固有のスタイルやブランド言語やコンテンツを生成できるような機能も含むとしている。

ジェネレーティブAIサービスにおいてもAdobe StockやBehanceのように、クリエイターが自身の作品を収益化出来るように計画をしており、AIのトレーニングにクリエイターがストック素材を提供した場合、そのデータセットをもとにFireflyが生成した画像から得られる収益を、クリエイターが享受できるような方法を検討していることも明かした。

また、FireFlyをカスタムワークフローやマーケティングオートメーションに統合できるようにAPI経由で利用できる予定。

コンテンツ認証イニシアチブ(CAI)を設立

デジタルコンテンツの帰属の表明についてグローバルスタンダードを構築するため、アドビはコンテンツ認証イニシアチブ(CAI)を設立。非営利団体であるCoalition for Content Provenance and Authenticity(C2PA)を通じ、CAIのオープンソースツールを無料提供し業界標準を推進している。クリエイター所有のコンテンツがAIのトレーニングに使用されいないように要求するために「Do Not Train」と画像のクレデンシャルにタグをつける機能も含まれており、コンテンツの使用、公開・保存、という局面でもこのタグは関連付けられたままとなる。またAIが生成したコンテンツにもそれが分かるように「AI生成」のタグが付けられるとしている。