セブン&アイ・ホールディングスは3月22日、子会社であるPeace Deli(ピースデリ)が千葉県流山市に建設したグループ初の共通インフラ「Peace Deli流山キッチン」で、メディア向け取材会を開催した。

<石橋事業SST事業統括>


常務執行役員の石橋誠一郎スーパーストア(SST)事業統括は、「当社の2030年に目指すグループ像として、『食』を中心とした世界トップクラスのリテールグループがある。SST事業は、首都圏集中とプロセスセンター(PC)、セントラルキッチン(CK)、ネットスーパーを強化することで選択と集中を行う。一方で、コンビニ(CVS)事業は、商品領域を拡大することで、両事業による食シナジーを目指す。SST事業では、圧倒的な品揃え・SKU数があり、セブンプレミアムの商品開発では、約7割の人員はSST事業が輩出した。その結果、セブンイレブンは、競合に比べて1.7倍超の食品PBの品揃えがある。また、立地要因を除くと、消費者の約半数(46%)が、セブンイレブンを選択しており、セブンイレブン来店者の2/3は、食品のおいしさと品揃えを選択の理由に上げている」と事業戦略と市場動向を解説した。

その上で、「グループでは、段階的にシナジーを創出しており、セブンプレミアムの開発、商品・サービスの取組み事例の横展開に続き、共通基盤・インフラの活用を進めている。セブンプレミアムは、2021年度に初の減収となったが、死筋商品の排除、主力品のリニューアルなどの取り組みで回復軌道に乗っている。ヨークフーズwithザ・ガーデン自由が丘のような複数業態の融合店が実績を上げているほか、イトーヨーカドーとセブンイレブンのパートナーシップの取組みも進んでいる。当社のSST事業は、競合他社に比べて出店数など差をつけられている。その要因の一つが、専用インフラの不備にあった。持続的成長には、専用インフラが必須であり、今回、初めて、セブン&アイ、イトーヨーカ堂、ヨークが共同出資して、合弁会社Peace Deliを設立した。インフラを構築し、生産性を向上させ、新商品を投入することで、収益を改善し、成長の好循環を生み出す」と新会社設立の経緯を説明した。

<和瀬田社長>


Peace Deliの和瀬田純子社長は、「Peace Deliは、精肉・鮮魚を加工するプロセスセンターと弁当・惣菜を製造するセントラルキッチンの機能を持った新会社となる。今回、稼働する流山キッチンのほか、2024年2月には、千葉市にも千葉キッチンを設立する計画だ。流山キッチンは、精肉・鮮魚・ミールキットの製造を担う拠点であり、IY生鮮センターと隣接することで、Peace Deliで加工した商品を、効率的に店舗に届けられる特長がある。ガス置換包装機、定貫スライサー、プロトン凍結機といった製造機器を導入することで、品位と生産性を向上させている」と施設の特長を解説した。

その上で、「ミールキット市場が伸長していることを受けて、チルドミールキットを中心に、工場内で加工した鮮度の良い精肉・鮮魚を使用したミールキットを製造する。今後も物流(生鮮センター)と併設した施設とすることで、配送トラックを減らし、空きスペースを有効活用し、高品質で効率的に商品を供給するセンター運営を目指す」とセンターの運営方針を解説した。

<定貫スライサーを活用した商品>


<新しい冷凍設備を導入した冷凍刺身>


<ノントレー包装の精肉商品>


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