米証券取引委員会(SEC)は仮想通貨のトロン(Tron)でICOを介して資金調達を行ったジャスティン・サン(Justin Sun)氏を「未登録の証券の販売を行った」として訴訟を起こした。トロンの「TRX」とビットトレントの「BTT」を証券として指摘、SECの訴状によるとジャスティン・サン氏はTRXの価格操作も行っていたという。このトロン訴訟によってTRXは約12%の下落を記録した。

SECがジャスティン・サン氏を起訴

米証券取引委員会(SEC)は中国人仮想通貨起業家で、イーサリアム上で2017年にICOを行ったトロン・ファンデーション(Tron Foundation)の創設者であるジャスティン・サン氏を起訴した。

訴状によるとジャスティン・サン氏は

・非登録の証券をオファーと売却

・TRXの仮装売買による価格操作

・違法な売り込み

を行ったとしている。

トロン・ファンデーションは2018年7月にP2Pネットワークを提供するビットトレンド(BitTorrent)を買収しており、その後2019年2月にBTT(ビットトレントトークン)を発行した。今回のSECの訴訟ではICOを行うために発行したTRXとこの買収後に発行したBTTを「未登録の証券」だと指摘しており、その他多くの容疑がジャスティン・サン氏にはあるという。

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TRXの価格操作を行う仮装売買

SECは、仮想通貨投資家の興味を集めるためにジャスティン・サン氏が意図的にTRX価格の安定を見せるために仮装売買による価格操作を行っていたと指摘している。この価格操作をジャスティン・サン氏はトロン・ファンデーションの社員に指示を行っており、最低でも1つの委任アカウントを作成して取引を行ったという。

このTRX価格操作において委任アカウントと100%ジャスティン・サン氏がコントロールするアカウント間で何十万ものTRXを売買しており、「これらの取引は所有権の変更や正当な経済的目的がない」とSECは指摘している。