BNPLとは「Buy Now Pay Later」の略称で、日本語では後払い決済と呼ばれる。このサービスの利用が拡大しており、財務省の経済トレンドコラムでは「EC市場の拡大に伴い、BNPL市場は2025年には1.9兆円に達する」という予測が示されている。

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 また海外では先行して利用拡大が続いており、2022年6月の時点で米国調査会社イーマーケターが出した予想では、取引額が前年に比べて77%以上も増加する伸び率を見せ、約10兆円規模(756億ドル)になるとされている(出典:日本貿易振興機構)。

 BNPLは、買い物をする際にとても便利であるため、若年層を中心に広がっている。特にECサイトでのネットショッピングにおいて、クレジットカードや銀行口座を作らなくても気軽に購入ができることや、品物を見る前に支払うことへの不安を取り除くことから、日本でも利用者が増えている状況だ。

 その他にも、分割払いの手数料がかからないケースが多いことや、クレジットカードのように厳格な与信審査がないこと、高額な商品でもほしい時にすぐに手に入るといったメリットがあり、利用者と利用額は共に拡大している。

 一方で、その拡大には警鐘も鳴らされている。先の財務省のコラムでは、利用者が支払い不能となるリスクについて指摘されている。BNPLは商品を受け取ってからスマホへの電子請求や紙で届く請求書に従い、コンビニや郵便局で支払うことになるが、その時点で支払うことが難しい場合、借金に手を付けることになる可能性がある。

 クレジットカードのように審査がなく申し込んでからすぐに使えることや、金融関連知識の浅い若年層の利用が多いこと、購入への心理的抵抗が低いこと等が、利用者の支払能力を超えた過剰消費につながるリスクとなっている。

 BNPL側でもそういった事態を防ぐため利用上限を設定しているが、分割購入できないものや、手数料がかかるケースもあるため、ほんの些細なきっかけで支払いが滞る可能性が潜んでいる。また、いざ手数料が発生すると消費者金融よりも高い利率が設定されている場合もある。

 利用者としては、BNPLは「借金」であるという認識をもってそのサービスを使う必要があるだろう。本人の自制やモラルの問題として片づけるのではなく、家計簿管理アプリとの相互利用や、利用金額の可視化といった機能面の拡充、悪質なBNPL業者の参入を防ぐような規制の整備も欠かせないだろう。