飛行させる機体の3Dイメージ(画像: ACSLの発表資料より)

 日本郵便(東京都千代田区)は17日、奥多摩でドローンによる荷物配送を施行すると発表した。人が集中しているエリアにおいて、補助者の配置なしで目視範囲外を飛行させる「レベル4」を、国内で初めて行うことになる。

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 3月23日の9時から17時まで飛行する予定。奥多摩郵便局から配達先の顧客まで往復飛行する。飛行高度は20m~145m。速度は最高時速36kmで、1kg以内の荷物を運ぶ。4.5kmを約9分で飛行し配達する計画だ。

 使用する機体は、ACSL製の「PF-CAT3」。安全性が高く生活者の上空を飛行できる「第一種型式認証書」を取得した日本初の機体。さらに、「一等操縦者技能証明」を保有する操縦者が飛行させ、安全性を高める。

 日本郵便は2016年からドローンを使った輸配送業務の検証を開始している。2018年には、福島県南相馬市の2つの郵便局間9kmを、「目視外・補助者なし」でドローン配送を行った。

 2019年には、奥多摩郵便局から個人宅への「ラストワンマイル配送」の試行も実施。陸路では20分かかる山間部の個人宅までの配送を、ドローンは10分で到着。着陸後は荷物を切り離して、再び郵便局に戻った。

 ドローンを活用した配送が可能になれば、配送までに時間のかかる山間部や、配送が困難な災害地などにもモノを届けることができるようになる。労働力不足や配達の非効率などの課題解消にもつながると期待されている。

 こうした動きを後押しすべく、2022年12月5日に改正航空法が施行された。これまで有人地帯の走行は、山間部など第三者が立ち入る可能性が低い場所でのみ補助者なし・目視外で自動飛行させる「レベル3」までしか認められていなかった。人口が手中しているエリアで走行できる「レベル4」が解禁されたことで、弾みがつきそうだ。

 国土交通省は昨年12月からドローンの型式認証制度も開始した。無人航空機の構造や強度、性能などが安全基準を満たしているか検査している。型式認証を受けると、機体認証検査の全部または一部を省略することができる。