「未来の農業」コンセプト機を出展…クボタ、CES初出展で成果

クボタが未来志向の技術訴求に力を入れている。1月上旬に米国ラスベガスで開催された、世界最大のデジタル技術見本市「CES2024」に初めて出展。コンセプト機を展示するとともに、未来の農業の姿を描いて見せた。農業従事者の世界的な減少から、農業と技術を組み合わせたスマート農業が注目される。福永究研究開発統括部長は「周囲の考え方を変えていく第一歩にしたい」と、CESでの成果を強調した。(大阪・池知恵)

人が乗るキャビンがどこにもなく、車体に取り付けられた複数のセンサーとカメラが周囲の状況を確認しながら自動で農地を動き回る―。クボタはCESで、自社が描くスマート農業に向けたコンセプト機を出展した。発売時期などは未定だが、展示ブースでは実際に同機が農作業をしている動画を公開した。

車体後部に作業機器を取り付け、果樹畑などで稲刈りや種まき、あぜと作物の狭い空間で急旋回する様子を披露。その間、農業者は家事をしたり友人とくつろいだりしながら、タブレットで作業の進捗(しんちょく)を確認し、農場に人の姿はない。

バッテリーを10%から80%まで6分で急速充電でき、四つの車輪にモーターを取り付け、独立した制御で無人搬送車(AGV)のような急旋回が可能だ。地盤の状態に合わせて車輪の回転数を制御することで、エネルギー消費も抑えられるという。

同社は2030年の長期ビジョンの中で、データと連携した高いセンシング機能を持つ作業機械と、人工知能(AI)を活用した営農自動管理システムの提供により、農業の生産性向上を図ることを掲げている。この未来像を具現化したものがコンセプト機だ。

他にも農作業全体を最適化するプラットフォーム(基盤)の開発も目指している。車体に付けたセンサーで土壌の肥沃(ひよく)度や刈り取り状況などあらゆるデータを収集し、気温や気候などに合わせてAIが肥料をまく、収穫するなどを判断する。そんな未来の農業のあり方をCESでも示した。

北尾裕一社長は「CESを起点にさまざまな業界と新しいオープンイノベーションが期待できる」と、連携強化に意気込みを示す。

無人機の実用化には、車体の制御に必要なデータを高速、高度に処理するAIや通信の能力向上、車体の小型化など課題は多いのも事実。スタートアップを含めて協業をどれだけ加速できるかが、未来像の実現に向けてカギとなる。