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 米シリコンバレー銀行(SVB)の破綻を起点とする金融不安が世界中に拡散して、日本の地方銀行にも大きな影響が及んでいる。

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 SVBの破綻は、潤沢に集まった預金を融資で十分に運用することが出来ずに、債券で運用していたところにポイントがある。信用力の高い債券は、最後まで保有していれば約束通りの条件で償還される。経営に高い健全性を求められる銀行の場合は、債券の保有期間における価格の変動を、含み損益として的確に把握し、開示することが求められている。

 SVBが保有していた債権は、米連邦準備理事会(FRB)が22年3月から始めた金利の引き上げの影響で価格の低下が続いていた。そこで財務の健全化を図るために、目減りした金額以上の増資を行って安定した経営を続けると発表した直後に、株価の暴落を招き2日後に経営破綻した。

 貸出先に恵まれず、運用に四苦八苦してきたのは日本の地方銀行も同じだ。金利水準の変化に、債券価格がどのように変化するかというデュレーション感覚が、地方銀行に根付いていなければ、日本でも同様のリスクが懸念される。だから、投資家が地方銀行の債権と金利の管理に不安を抱くのは至極当然だ。

 デュレーションとは関係なく、とばっちりを受けたと感じられるのがソフトバンクグループ(SBG)だ。SBGが主宰する10兆円のソフトバンクビジョンファンド(SVF)と、SVBの略称は僅かの1字違いだから、まず紛らわしい。

 おまけに、SVBはスタートアップとかテック企業に力を入れていたと解説されるから、ますます関連付けの意識が強まる。回り回って影響を受ける可能性があったとしても、掠ったようなものだろうに、ここ数日間の株価の動き方はまるで強い影響を受けたかのようだ。

 3月9日に5700円だった株価がわずか4営業日の間に5000円割れまで下落した。それでなくても、幅広く新興企業に投資していることは周知されているから、ネガテイブな話題の影響を受け勝ちなのに、関係のない(と思われる)銀行の破綻にまで、過剰に反応するマーケットに振り回されるのは、ウンザリといった思いだろう。