
出張費の過大 請求を多数回
出張旅費の過大請求、不正受給を理由とする懲戒解雇が無効とされた例として、日本郵便(北海道支社・本訴)事件(札幌高判令3・11・17、原審:札幌地判令2・1・23、最決令4・6・23で上告棄却、上告不受理、確定)を紹介する。本件は、郵便局を設置し、郵便業務、銀行窓口業務、保険窓口業務などを営むことを目的とするY社との間で、期間の定めのない労働契約を締結していた広域インストラクターXが、約1年半で100回にわたる出張旅費の過大請求と不正受給を理由として懲戒解雇されたことにつき、懲戒解雇は無効であると主張して労働契約上の地位の確認などを請求した事案である。
Xは、北海道支社の営業部広域インストラクターを務めていたところ、…
筆者:第一芙蓉法律事務所弁護士 東 志穂