循環素材「紙糸」に注目…日本紙通商・王子ファイバーが用途拡大

布製品にアップサイクル

紙商社が扱う「紙糸」が人工芝やスポーツ用ネットをはじめ、紙コップの古紙からの循環素材としてタオルなど布製品へと用途を広げている。そもそも環境に優しい植物由来で、使用削減が進むプラスチックからの代替や脱炭素化で注目される。高品位の紙糸が出される一方、飲料・外食関連企業などが取り組みやすいリサイクルのモデルも誕生した。紙を生業(なりわい)とする企業の取り組みは今後加速しそうだ。(編集委員・山中久仁昭)

日本製紙系の日本紙通商(東京都千代田区、吉田太社長)は、事業所向けに使用済み飲料用紙容器を回収し再資源化、製品化する紙容器アップサイクルプロジェクトを立ち上げた。紙コップの古紙を混ぜた紙糸製品ブランド「choito(チョイト)」を展開し、UCCグループや京橋千疋屋(東京都中央区)などが参加表明している。

企業が望むタオルやエプロンなどに生まれ変わらせる計画。一般ゴミとして廃棄されがちだった紙容器は一部で段ボールや紙コップへのダウン・水平リサイクルがみられるが、布製品へのアップサイクルは事例が少ない。

メンバーは紙容器専用の回収箱(383ミリ×282ミリ×319ミリメートル)を購入し、活動に参加する。店舗などに設置して一定量にまとまったら発送し、日本紙通商がリサイクル証明書を発行する。布製品は基本、横糸に紙糸を50―100%使い、縦糸には綿糸を使う。古紙配合率は、どんな製品を求めるかなど企業のニーズで変わるという。

紙糸を使ったゴールネット(みんなの鳩サブレースタジアム)

一方、国際紙パルプ商事傘下の王子ファイバー(東京都中央区、平井雅一社長)の紙糸「OJO+(オージョ)」が人工芝などに相次ぎ採用されている。従来のプラスチック製より軽量で強度や吸放熱性に優れ、化石燃料由来の原料を減らせる。紙糸は日本紙通商のような古紙由来でなく、マニラ麻を原料とする。

オージョを使うゴールネットは、みんなの鳩サブレースタジアム(神奈川県鎌倉市)のサッカーゴールや、フットステージ新前橋(前橋市)のフットサルゴールに採用された。強いシュートに耐えられるよう、紙糸とポリエステルを半々配合している。

また、東京・品川区立の環境学習交流施設「エコルとごし」のキッズスペース内では、毛足(パイル)部分が100%紙糸製の人工芝が設置された。熱が伝わりにくく、真夏環境下の温度は天然の芝生と同等程度。素足にも優しい。

国内では年約140トンのマイクロプラスチックが海洋流出し、プラ製人工芝由来のゴミが多い。国際紙パルプ商事は紙糸製品を通じ、環境対策の周知・啓発を図るとしている。