ロシアのソユーズMS-22宇宙船は、国際宇宙ステーション(ISS)に乗員を送り込むために2022年9月に打ち上げられ、ISSにドッキングされていた2022年12月15日に冷却液漏れが発見された。ソユーズの運用管理に携わるロシアの国営企業ロスコスモスは、この事故の原因究明に着手しその結果を1月に入って公表した。

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 冷却液漏れは、MS-22宇宙船の居住エリアにおいて、冷却を担う熱制御システムのラジエター配管で圧力低下が確認されたために発覚。事故当初、宇宙船の製造欠陥を疑う向きもあったが、ロスコスモスは隕石衝突が原因であったことを明らかにし、欠陥説を否定した。

 ラジエター配管トラブルで居住エリアの温度上昇懸念があったものの、その後適切に対処し、懸念は現在解消されているという。配管には1mm未満の小さな穴が開いていることが確認され、これができたのは小さな隕石衝突が原因と見られている。ラジエター配管以外の部分は正常に機能しており、宇宙飛行に関する脅威はないという。

 ロスコスモスは、MS-22宇宙船によるクルーの地球帰還は困難であるとし、MS-22宇宙船を無人で地球に帰還させることを明らかにした。MS-22宇宙船で2023年3月に帰還予定だった3名の宇宙飛行士(ロシア2名、米国1名)は、次に打ち上げられるMS-23宇宙船で帰還することになる。スケジュールは、当初の予定であった3月を守る意向を、同社のボリソフ社長は表明している。

 MS-23宇宙船は、当初3月16日に打ち上げが計画されていたが、ロスコスモスはこれを繰り上げ2月19日以降であれば打ち上げ可能としている。これが実現されれば、3名の宇宙飛行士は当初の予定通り地球帰還がかなうことになる。

 ISSでは、日本人の若田光一氏が現在も滞在中だが、若田氏は2022年10月に米スペースX社のクルードラゴンでISSに到着。2023年4月に同宇宙船で帰還予定となっており、彼の滞在及び帰還には今回のMS-22宇宙船事故の影響はない模様だ。