2022年12月19日に撮影されたZTF彗星。(c) Dan Bartlett(画像: NASAの発表資料より)

 新年早々天文ファンにとっては楽しみなニュースだ。2022年3月に発見されたZTF彗星(ZTFはZwicky Transient Facilityの略)が1月12日に太陽に最接近(1.11天文単位)し、2月1日には地球に最接近(0.28天文単位)する。

【こちらも】地球に脅威を与える暗い天体を発見へ NASAが観測網開発に着手

 彗星の明るさの予測は難しく、大騒ぎされた割には空振りに終わることも過去にはよくあるので注意が必要だが、仮に肉眼で見えるほど明るくならないにしても、双眼鏡では存在の確認ができるだろう。ただし、ZTF彗星の大きさは1km程度と見積もられているため、過剰な期待は抱かないほうが良いかもしれない。

 ところでこの彗星を発見したプロジェクトは、Zwicky Transient Facility(ツヴィッキートランジェントファシリティ)と呼ばれ、光学的に夜空の体系的研究を行うことを目的とした、アメリカの官民パートナーシップだ。パロマ天文台にある口径48インチ(122 cm)のシュミット望遠鏡を用いて、夜空の広視野観測を通じた様々な研究に取り組んでいる。

 ZTF彗星は「C/2022 E3」なる識別名が与えられているが、最初のCは、この彗星が周期彗星でないかまたは非常に長周期彗星であることを意味する。ある学者はこの彗星の周期を約5万年と見積もっている。つまり、前回この彗星が地球に接近した際には、まだネアンデルタール人が生きていたことになるが、当然のことながら前回接近時の観測記録は一切残っていない。

 Star Walk2のホームページによれば、2023年1月3日現在ZTF彗星は、こと座の1等星ベガと牛飼い座の1等星アークトゥルスの間あたりで8等星の明るさで見えているという。肉眼で見える星の暗さの限界が6等星なので、現時点では双眼鏡がないと見えない。

 Star Walk2は、星空にスマホをかざすと、そこに見える星がなんであるのか識別表示してくれるアプリだ。これを使えば、ZTF彗星が今どこに見えるのか位置をスマホで示してくれるため、にわか天文ファンでもZTF彗星の捜索は容易かもしれない。だが、肉眼で見える保証はないので、双眼鏡持参で捜索するのが良さそうだ。