●AT車の便利さに一転してAT党に

 カペラは1971年10月にマイナーチェンジし、「カペラGシリーズ」として、4灯ヘッドライトを採用。ロータリー車に初のATである「REマチック」仕様が登場した。

 大阪支社では新車が発売される都度、広報車両として登録し、普段の業務にも使用していたが、「AT車」と聞いて、当初は拒否反応があった。AT車は足が不自由な人向けだとの、思い込みがあったからだ。

 新車登録直後に鈴鹿サーキットへの出張で、従来のミッション車から入れ替わった「REマチック」で行く破目になり、気が進まないままに出掛けたが、先入観は見事に裏切られた。

 加速性能は、ATミッションのセッティングがロータリーに合わせた特性で、0->400m=17.5秒だった。

 何よりも、鈴鹿サーキットのレース終了後の渋滞は激しく、ミッション車ではストップゴーストップの繰り返しは結構くたびれるが、この車は全く疲れなかった。

 それ以来、大のAT党となり、個人保有の車もメインの車種は「RE車のオートマチック」一択となった。

 最近は、オートマチックトランスミッションも長足の進歩を遂げ、多段式のものが普及している。(参考画像2:電子制御6速オートマチックトランスミッション「CX-7 Cruising」)

(広告の後にも続きます)

●AT車は便利だが

 マニュアルミッション車で苦労させられる「坂道発進」での「サイド合わせ(坂道を下がらない様に、サイドブレーキで車を停止させた状態からクラッチを繋いで発進する)」や「クラッチ合わせ(ブレーキから素早くアクセルに踏みかえて発進する)」といったテクニックを習熟する必要も無い。

 しかし、AT車はマニュアルミッション車と較べて、「エンスト」することは原則として無い。

 ミッション車なら、何等かの運転ミスがあれば、先ずエンジンが停止する(エンストする)。だがAT車は、『現代の車はフェイルセーフだ』(2020年12月20日付)で述べた「2019年の東池袋暴走事故」の場合でも、暴走した犯人は、パニック状態でアクセルを床まで踏み続けたに違いない。

 そうなると、「エンジンを切る」か、「ニュートラルにする」かの方法で動力を駆動輪に伝えない以外は止められない。