フリーランスがふるさと納税するメリット【会社員と比較】

すでに触れたように、会社員とフリーランスのふるさと納税にはいくつか違いがあります。ここでは、フリーランスがふるさと納税するメリットを、会社員と比較しながら考えていきます。

メリット1. 節税効果が大きくなる場合も

ふるさと納税には、やはり節税効果を期待するもの。その点でいくと、フリーランスは会社員よりも節税効果が大きくなるケースが多いです。

フリーランスの場合、仮に会社員と同じような収入でも、給与所得より事業所得のほうが金額が大きくなりやすく、ふるさと納税の上限額が増えるためです(ふるさと納税の上限額は所得額に比例する)。

ただし、所得額が増えやすいということは、そもそも「納税額が多い」こととイコールなので、必ずしもおトクかというと少し微妙かもしれません。

メリット2. 事務手続きがラク

会社員がふるさと納税をする最大のデメリットは、事務手続きの負担にあります。

じつは、原則としてふるさと納税を行った場合は、会社員でも確定申告書の「寄付金控除」欄にふるさと納税額を記入し、確定申告をする必要が生じます。基本的に確定申告が不要な会社員にとっては、かなりデメリットですよね。

▲ふるさと納税の手続き(出典:総務省)

ところが、フリーランスの場合はそもそも確定申告が原則必須なので、ふるさと納税額を書き足すくらいなら大きな負担にもならないでしょう。その意味で、会社員より事務手続きがラクなのは間違いありません。

ただし、会社員でもふるさと納税が原因で確定申告をしなくて済むよう、「ワンストップ特例制度」という救済処置が用意されています。寄付先の自治体に申請書を送るだけで確定申告が不要になるので、実際に確定申告をしている会社員はほぼいないでしょう。

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フリーランスがふるさと納税するデメリット【会社員と比較】

言葉を選ばずに言えば、ふるさと納税は「会社員のための制度」という側面があります。フリーランスにとってはデメリットが多いのも事実で、以下でそのあたりに触れていきましょう。

デメリット1. ふるさと納税限度額の把握が難しい

会社員と異なり、フリーランスは売上や経費、控除額が変動しやすいです。そのため、会社員のようにカンタンなふるさと納税シミュレーターが使えず、ふるさと納税限度額を把握するのが難しくなります。

ただ、おおよその目安を把握することはできます。一般に、フリーランスのふるさと納税限度額は「住民税所得割額の20%」が一つの目安といわれるため、この金額を軸におおよそのふるさと納税限度額を把握するといいでしょう。

※住民税所得割額

住民税の内訳には、「所得割(納税者の所得に応じて変動する税額)」と「均等割(全住民が均等に負担する税額)」があり、この言葉は前者を指す。計算式は(所得金額-控除額)×税率(原則10%)-(調整控除+税額控除)。

なお数は多くありませんが、フリーランス向けのふるさと納税限度額シミュレーターもいくつかあります。

【フリーランス向け 控除限度額シミュレーター】

デメリット2. 売上がブレると限度額もブレる

これがフリーランス最大のデメリットでしょう。

たとえば2022年にふるさと納税を行う場合、2022年末の所得額をベースに住民税額が決まり、上限額も決まります。しかし、ふるさと納税は2022年内に行う必要があるので、年末までの所得額を予測し、予測額に応じた上限額を計算しなければいけません。

会社員の場合、1月の時点で12月の収入はだいたい見えており、予測を立てるのはカンタンでしょう。しかし、フリーランスの場合はその難易度が跳ね上がります。年初の予測と100万円単位で売り上げがブレることも珍しくなく、そうなれば限度額もブレるからです。

そのため、フリーランスのふるさと納税上限額が固まる(=売上の見通しが立つ)時期は、9月~12月くらいになるのではないでしょうか。これより早くふるさと納税をしてしまうと、売上が急落or支出が急増した場合に所得が減り、上限額をオーバーしてしまう可能性が高くなります。

デメリット3. 返礼品の選択肢が限られやすい

ふるさと納税の返礼品は、意外と時期によって変わってきます。野菜や果物、魚などは旬の時期が変わるためです。

しかし、フリーランスは年初にふるさと納税することが難しく、年初限定の返礼品を受け取りにくくなってしまいます。また、いちいち返礼品を選ばなくても、定期的に返礼品を送ってくれる「定期便」も人気の返礼品ですが、やはりフリーランスの立場としては選びにくいといえるでしょう。

デメリット4. 節税対策をガチガチにすると上限額が減る

ふるさと納税の上限額は、所得に左右されます。先ほど「フリーランスは所得が大きくなりやすいから上限額が上がりやすい」と言いましたが、逆に言うと節税対策を徹底し、所得額が抑えられると上限額は減ってしまいます。

節税対策をガチガチにしたほうが効果は大きいのですが、節税対策をすることで上限額が減ってしまうのは、気持ち的に少しガッカリするのも確かです。