「自分にとって仕事とは?」「理想の働き方を実現したい」

働く目的や価値観、ワーク・ライフ・バランスに対する考え方は人それぞれです。そのため理想の働き方も一人ひとり異なります。理想の働き方を実現し、意義ややりがいを見いだして働くことで仕事をより価値あるものにできるでしょう。

今回は仕事に対する考え方について、さまざまなアンケートデータの結果から、理想の働き方を見つける方法や実現するための方策をご紹介します。

理想の働き方とは

理想の働き方は人それぞれです。置かれている環境や性別、考え方によっても異なるでしょう。理想の働き方が明確であれば、仕事に対するやりがいやモチベーションの維持につながります。まずは自分の人生において、仕事がどのような位置づけにあるかを考えてみてください。

仕事とはなにか

仕事とはなにかを考えたとき、意味や目的の設定は人それぞれです。たとえば以下のような意味・目的があげられます。

  • 生活するお金を得るため
  • 自己成長・自己実現のため
  • 人や社会の役に立つため
  • 人生を楽しむため
  • 趣味に打ち込むため

どれかひとつだけを選ぶ必要はなく、正解もありません。就職面接では避けられる「生活するお金を得るため」という理由も立派な仕事の意味・目的です。どのような意味・目的の場合でも、そこにやりがいをもって取り組むことで、仕事に対する充実感を得られるでしょう。

人生の中での仕事を考えたときに、生涯を通じた生き方という意味でキャリアを見つめることが大切です。仕事に対するやりがいや価値観ももちろん重要ですが、仕事を暮らしと切り離すのではなく暮らしの一部としてとらえることで、仕事に対してまた違った理想を抱くかもしれません。

暮らしという側面から仕事をとらえて、自分なりの仕事の意味・目的を考えてみてください。

男性の理想・女性の理想

女性の場合は出産や育児などライフステージの変化に応じて働き方の変化が求められます。同じくキャリアアップを志す男女でも、産休・育休や子育てのための時短勤務が影響して、理想的なキャリアアップを図れない女性は多いです。

近年では女性の社会進出が推進され、管理職者も増加しています。しかし「令和2年賃金構造基本統計調査」を見ると、依然として多くの日本企業で男性の方が女性より管理職に就き、平均年収も多い傾向があります。

ただし2022年10月から男性の育休取得を促進する新制度「産後パパ育休(出生時育児休業)」が施行されました。男性の育休が推奨されている現状から、男性の家庭参画機会は増えているといえるでしょう。男性の家庭志向が高まり、理想の仕事や暮らし方も変化しつつあることがわかります。

データから見る理想の働き方

人それぞれにある理想の働き方。その傾向を見いだすヒントとなる、働き方についてのアンケート調査をご紹介します。

平成20年版 労働経済の分析より「理想的な仕事」

「平成20年版 労働経済の分析」によると、働く目的や理想的な仕事は年齢階級別に大きな違いがあります。

20代から50代にかけては「お金を得るため」という目的を掲げる人が多く、それ以降は急激に減少します。特に30〜40代前半はお金を仕事の目的とする人が多いようです。一方、40代後半からは「生きがいをみつけるため」という人が増え、60代になると全体の60%を超える人が仕事に生きがいを見いだしています。理想的な仕事については「収入が安定している仕事」「自分にとって楽しい仕事」をあげる人がすべての世代において高い一方、「高い収入が得られる仕事」を理想とする人は低い傾向です。「健康を損なう心配がない仕事」は50代後半から次第に高くなっています。

以上の結果から年齢階級別に仕事感を見ると、若年層から壮年層にかけてはお金を得ることや収入の安定を望む一方で、高齢層では生きがいや健康を重視する傾向があります。年齢が高まるにつれて仕事観が変化するといえるでしょう。

令和2年雇用動向調査より「前職を辞めた理由」

「令和2年雇用動向調査」によると男女によっても離職理由が異なることがわかります。離職は働く人と企業のミスマッチが原因といえるでしょう。離職理由を考えると理想の働き方が見えきます。

令和2年の転職入職者が前職を辞めた理由をみると、男性は「その他の理由(出向等を含む)」 31.3%を除くと「定年・契約期間の満了」16.0%が最も多く、次いで「給料等収入が少なかった」9.4% 、「職場の人間関係が好ましくなかった」8.8%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」8.3%となっています。

一方女性は「その他の理由(出向等を含む)」26.9%を除くと「職場の人間関係が好ましくなかった」13.3%が最も多く、次いで「定年・契約期間の満了」12.7%、「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」11.6%、「給料等収入が少なかった」8.8%となっています。

以上の結果から性別ごとに理想の働き方を見ると、男性は定年や契約期間の満了まで働き続ける人が多い一方で、給料や労働時間などの労働条件にミスマッチを感じて離職する傾向が強いことがわかります。女性は定年や契約期間の満了によって離職する人と同程度に、人間関係や労働時間などに不満を抱えて離職する傾向が強いようです。

令和4年 健康経営の推進についてより「若者が就職先に望む勤務条件」

「令和4年 健康経営の推進について」によると、就活生や就職を控えた学生とその親が抱く働き方の理想像が見えてきます。

就活生が就職したい企業の条件として最も多く選んだのが「従業員の健康や働き方に配慮している」、次いで「福利厚生が充実している」、「企業理念・使命に共感できる」という結果でした。一方就活生をもつ親があげた条件で最も多かったのが「従業員の健康や働き方に配慮している」、次いで「雇用が安定している」、「給与水準が高い」という結果です。

以上の結果から、就活生と親はともに企業に対して健康面や働き方の配慮を求めることがわかりました。また親には雇用の安定や給与水準の高さといった労働条件に対する理想が強い傾向です。

理想の働き方を実現するためにできること

年齢や性別、環境によっても働き方の理想は異なります。自分なりの理想の働き方を見つけて、やりがいを見いだして働くことが大切です。理想の働き方を見つける方法と、それを実現するための方策をご紹介します。

ライフキャリアを考える

ライフキャリアを考えることで、広く人生における理想の働き方を見つけられるかもしれません。ライフキャリアとは仕事だけでなく、家庭や趣味など日々の生活や、地域との関わり、ボランティアなど、生涯にわたる役割や経験の積み重ねのこと。

仕事にとらわれず、仕事を含む人生の中で何を大切にして何を達成したいのかを考えると、自分のなかの仕事の位置付けが見えてくるでしょう。仕事を中心に理想の働き方を考えるのではなく、人生設計から理想の働き方を見い出します。人生において納得できる仕事を見つける方法としておすすめです。

仕事選びのポイント

自己分析とキャリアの棚卸しをして、自身がもつ仕事に対する考えを明確にするのもおすすめです。これまでの経験や思考を整理し、能力や性質、強みや弱み、今後のありたい姿などを洗い出します。あわせてこれまでのキャリアで実践してきたこと、その成果、それらの過程でどのように考え行動したのかなどを整理します。

これによって自分の価値観が明らかになり、仕事選びのポイントを見いだせるでしょう。自身が仕事上で大切にすることや考え方を明確にすると、納得のいく仕事選びにつながります。

健康経営推進企業を参考に

従業員が健康であることが企業の利益につながるという観点から、従業員の健康管理を戦略的に実践する健康経営。従業員の健康を身体的・精神的にサポートすることで、生産性の向上や組織の魅力アップにつなげています。

経済産業省では2014年度から健康経営銘柄制度を設けて、健康経営に優れた企業を選定しています。項目にしたがって企業の取り組みを評価し、健康経営を推進する企業として選定。健康経営優良法人として表彰し、取り組みを発信しています。

選定企業には健康経営推進企業の認定マークが付与されます。仕事において健康面や働き方を重視する人はチェックしてみるとよいでしょう。

理想の働き方を実現するライフキャリア

仕事に対する考え方について、さまざまなアンケートデータの結果から、理想の働き方を見つける方法や実現するための方策をご紹介しました。働くことの目的や価値観、ワーク・ライフ・バランスに対する考え方は人それぞれです。理想の働き方を実現し、意義ややりがいを見いだして働くことで仕事をより価値あるものにできるでしょう。

まずは、自分の仕事に対する価値観や目標、大切にすることを明確にして、理想の働き方を見つけることが重要です。自身のライフキャリアをしっかりと描くことで、人生のなかでの仕事をとらえられるでしょう。本記事を参考に自分の理想の働き方に向き合ってみてください。