ネットショップで販売したり、企画や開発に携わったり、なんらかの商品に関わってるみなさん。

商品は、狙っていた通りのお客さんに渡ってますかー!?

商品に込めた思いを、正しく受け取ってもらっていますかーー!!?

仕事でデザインを判断する必要があるけど、本当にこれで正解なのか不安に感じているみなさん。

そのデザインがお客さんにとってどの程度正解だったのか、知りたくないですか~~???

「この商品パッケージ、結局なにが正解だったんだろう?」「この見せ方で正しいんだろうか?」というふわっとした疑問を抱いても、なかなか確認する方法って分からないですよね。

そこで、「多くの人が『商品の見た目の印象』に対して、どういう印象を受けるか」という潜在的な深層心理を知るための手法を紹介します。

多くの人が抱く思いの傾向が分かれば、それをもと元に方針を軌道修正したり、戦略を練ることもできます。

※この記事はホロンズ株式会社による寄稿です

さくらいみか

副業Webライターや編み物などの創作活動をしている会社員。かれこれ10数年、この記事に出てくる分析手法を使ったWebサービスの事業に携わっている。

シャンプーボトルのパッケージの印象調査をしてみた

例として、「20代女性はどんな印象のシャンプーを手に取ってみたいと思うか」を調べてみました。商品の価格や効能等の要素を考慮せず、見た目の印象だけを調べる調査です。

これら20種類のシャンプーボトルの画像を使って調査しました。

▲調査に利用したサンプル写真

そして、調査結果を統計的に分析して導かれた結果がこちら。

\\20代女性は、洗練度が高くてフレッシュなシャンプーボトルを好む傾向にある!//

▲「手に取りたい」シャンプーボトルの上位がこちら

さて、どうやってこの結果が導かれたのでしょうか。

分析手法に関する説明はあとにして、まずはざっくりと流れを説明します。

20代女性100名にURLを配布し、以下のようなフォームから「画像ひとつずつに対して感じた印象の調査」を回答してもらいました。ここでは、画像に対してイメージを測る「SD法」という手法を採用しています。

▲1枚の画像に対する見た目の印象をチェックし回答してもらう。これを20枚分おこなう

集まった回答を分析すると、3種類の視点が出てきました。20代女性はシャンプーボトルを見る際に、これらの要素に強い反応を示しています。

  • 「清潔感を感じる」「爽やかな」「ナチュラルな」等
  • 「洗練された」「高級感のある」「スタイリッシュな」等
  • 「単調な」「ナチュラルな」等
  • それぞれの視点に「1.フレッシュ」「2.洗練」「3.シンプル」と名前を付けてみました。この3要素のバランスが、それぞれのシャンプーボトルの印象を決めています。

    ▲シャンプーボトルを「手に取りたい」動機となる3つの因子

    つぎに、これらの要素を軸として3つのマップを作ります。集計した結果をもとに、それぞれのサンプル写真をマップの上にポジショニングしてみましょう。

    ▲フレッシュ×洗練軸(因子得点マップ)

    ▲洗練軸×シンプル軸(因子得点マップ)

    ▲シンプル×フレッシュ軸(因子得点マップ)

    ポジショニングを分類・整理すると、シャンプーボトルの印象を5つの方向性に分けることができます。この方向性の特徴をピックアップし、グループ名を付けます。

    このように分類すると、「どのシャンプーボトルが人気!」という単純な人気投票ではなく、「どんなグループがあって、どんな印象を与えているのか」が分かります。

    特徴を参考にして、商品の選定をするような場面で便利に使えそうですね。

    ここで、「手に取ってみたい」ランキング上位になったボトルがどのグループに属を見てみると、ほとんどが「スタイリッシュグループ」と「アーティスティックグループ」に入っていることが分かりました。

    したがって、この2グループを考察することで、「手に取りたいシャンプー―ボトル」の具体的な特徴を抽出することができます。

    この特徴を整理すると、「シンプルなもの」と「特徴的でインパクトの強いもの」が、手に取りたいシャンプーボトルであると言えそうです。これらは対照的ですが、どちらも洗練度が高く、フレッシュな要素を含んでいます。

    また、「スタイリッシュだがフレッシュ感は少ない」ものは、「手に取りたい」という動機付けには弱いようです。

    以上のことから、

    「20代女性は、洗練度が高くフレッシュなシャンプーボトルを好む」傾向にある

    という結果が導かれました。

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    これってどういう手法?

    結果が導かれはしたものの「これって信憑性あるの?」という声もありそうなので、手法についてちょっと深掘りしてみます。

    この調査には、統計学で使われる「多変量解析」という分析手法が活用されました。「感性工学」という学問に基づいており、例えば「戦争が起こる前と起こった後では何かに対する心はガラッと変わる」というような調査にも用いられたりもしているようです。

    頭の中や心の中でなんとなく抱いている思いを統計的に処理し、以下のようなことを可能にします。

    • 商品に対して潜在的に感じている「なんとなく〇〇っぽい」というような思いから、人気がある原因を探る

    • 「こんな類の方向に、こんな気持ちの人たちがいますよ」とハッキリさせることができる

    • 「こんな人たちにはこんなものが好まれる」というポジショニングから提案物を考える

    「売れるものは何か」ではなく、どんなものを好む人がいるかを知った上で「このポジションにいるお客さんを選ぶ」というやり方を採れるので、多様なユーザーを見据えたうえで判断することができます。これまで気付かなかったユーザー志向を発見したり、商品特性を見つけることもできます。

    大企業の商品開発では既にこのような手法が使われているようですが、一般的にはあまり知られていないので、「こんな方法もあるらしいよ」と知れ渡ればいいなと思います。

    この分析手法を使ったサービスについてもっと知りたい場合は、「商品の印象」と「ユーザーの思い」の関係を調べるサービス『Trending百見聞』をぜひご覧ください。シャンプーボトル以外の事例も公開しています。Twitterのアカウントは出来立てですので、なにとぞ応援お願いします。

    オンラインセミナー(無料!)の開催や、クラウドファンディングのプロジェクト「ネットショップの商品の印象を分析するサービスを多くの人に広めたい!」ご支援のお願いもしています。こちらもよろしくお願いします。

    (執筆:さくらいみか 編集:じきるう イラスト、提供元:ホロンズ株式会社