ISSのイメージ。(c) 123rf

 現在ロシアは、ウクライナへの軍事侵攻により国際的には孤立状態にある。2022年夏には、2024年以降の国際宇宙ステーション(ISS)の活動から離脱し、ロシア独自で宇宙ステーション建設を目指す意向が表明されていた。だがPhys.orgなどの報道によると、ロスコスモス関係者は、2024年以降もISSへの参加を継続することについて、ロシア政府と話し合っていることを明らかにしたという。

【夏には撤退を表明していた】ロシア、国際宇宙ステーションから撤退決定

 ロスコスモス関係者は、夏に表明した独自の宇宙ステーション建設計画に関する具体的なスケジュールを、これまで示してこなかった。夏以降のロシア国内情勢の変化を受け、宇宙ステーション建設の見通しが立たない状況となっていることに対して、危機感を覚えたのかもしれない。ただあくまでもロスコスモスの意向は、ロシア政府の正式な承認が得られていないことには注意が必要だ。

 現在も、ISSの高度制御を担うロシア側区画の運用は、西側先進諸国によるロシアへの経済制裁の影響を受けている。そのためISS軌道制御が遂行可能かどうかが危ぶまれていたが、米国は無人補給船シグナスでISSの軌道修正が可能であることを示しており、実際に6月27日、ISSの軌道修正を成功させた。ロシアへの経済制裁下でも、ISSの運用継続が可能なことが明らかとなっていたのだ。

 Phys.orgによると、ISSの運用パートナー国である米国、ロシア、ヨーロッパ、カナダ、日本は、現時点では2024年まで軌道周回実験室を運用することのみを約束している。だが米国当局者は、2030年まで運用を継続したいとの意向を示しており、ISSの運用は2024年以降も継続される可能性が高いという。

 ロシアのウクライナ侵攻に伴う戦費増大は、宇宙ステーション建設の予算確保を難しいものとした。加えて西側先進諸国からの経済制裁の影響で、宇宙ステーション建設に必要となるハイテク機材確保も困難になり、ロシアの宇宙開発に携わる科学者や技術者にとっては、現在はまさに絶望的な状況と言えるだろう。

 そんなロシアの科学者や技術者の良心が、かろうじて冷え切ってしまった米国との協調関係に望みをつなごうとしているのかもしれない。