地球最大規模とされるフレデフォート クレーターの画像とそれに重ね合わせられた隕石落下点を示すイラスト。(画像: ロチェスター大学の発表資料より (c) Lauren Dauphin による NASA 地球観測所の画像 / Julia Joshpe によるロチェスター大学のイラスト)

 地球の生命に壊滅的な打撃を与えた小惑星として、恐竜を絶滅に追いやった6600万年前のチクシュルーブ隕石が最も有名だ。だが、米ロチェスター大学の研究者らによって、実は20億年前にそれを上回る規模の小惑星が地球を襲っていたことが明らかにされた。この巨大隕石が襲来した場所は、現在の南アフリカ・ヨハネスブルグ近くの地域で、地球上で最大と認識されているフレデフォートクレーターがある。

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 これまでの研究で科学者たちからはこのクレーターが、直径約15kmの隕石が秒速15kmで地球に衝突して形成されたものだと広く認識されてきた。だが、ロチェスター大学の科学者らの新しい研究により、この隕石がそれよりもはるかに大きな存在であったことが明らかにされたのだ。

 過去の通説は、このクレーターの直径が約172kmであることから逆算されたものだが、20億年もの歳月でクレーターは風化浸食され、隕石衝突当時には250km程度の規模があったというのが現在の常識だ。それを加味してコンピューターシミュレーションによる再検証を実施。250kmのサイズのクレーターを説明するには、衝突体はもっと大きく、直径約20~25km、秒速15~20kmで移動しなければならないことが明らかとなった。

 この結果はチクシュルーブ隕石の規模(直径10~15km)をはるかに上回るもので、フレデフォート隕石が地球環境にもたらした影響は、地球史上最大のものであったと推測される。20億年前には単細胞生物しか存在せず、大量絶滅や森林火災の記録は残らなかったが、光合成生物に壊滅的な影響を与えた可能性がある。

 フレデフォート隕石の噴出物が、現在のロシアのカレリアに放出されたことが明らかとなっており、これに基づいた新たなシミュレーションも計画されている。これは20億年間に起こった大陸移動も加味する必要があり、正確な検証をするためには慎重を期する必要があるが、それによって今後より多くの知見がもたらされるものと期待されている。