ふたたび申し込み殺到!?…住宅省エネ改修補助開始、窓メーカーが生産増強で備え

住宅の省エネルギー化に向けたリフォーム補助事業が間もなく始まる。2023年度に国土交通省と環境省、経済産業省が連携して実施した複数の補助事業「住宅省エネ2023キャンペーン」では申し込みが殺到。中でも窓リフォームの補助事業の申請が想定を上回り、サッシメーカーは最大数カ月の納期遅延が発生した。今回も多数の申請が予想され、各社は生産設備の増強とともに、新商品をラインアップして補助事業開始に臨む。(田中薫)

3月から申請が始まる「住宅省エネ2024キャンペーン」では、「子育てエコホーム支援事業」(予算額2500億円)、「断熱窓への改修促進等による住宅の省エネ・省CO2加速化支援事業」(先進的窓リノベ事業、同1350億円)など予算総額4615億円に基づく四つの事業が実施される。それぞれ23年度と比べて予算の増額や補助対象の拡大が行われるが、中でも注目が集まるのは一戸当たり最大200万円の補助が付く先進的窓リノベ事業だ。

政府は50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)を目指すにあたり、家庭部門のCO2排出量を13年度比66%削減する目標を掲げている。住宅の高断熱化は冷暖房効率を向上させ、エネルギー消費量を削減できる。新築住宅では高断熱化が進んでいるが、国交省の調査によると既存住宅の約9割が現行の省エネ基準を満たしていない。住宅において熱の出入りが最も大きいのは窓やドアなどの開口部。複層ガラスや樹脂製サッシの窓に変えたり、既存の窓の内側に追加で取り付ける内窓を設置したりすることで断熱効果を高められる。

23年度の補助事業では施工時間が短く、低価格な内窓の受注が顕著に伸びた。三協立山は23年6―11月の内窓の売上高が前年同期比3・9倍に成長。24年度は高断熱ドアも新たに補助対象に追加されるが、内窓の受注が引き続き集中すると予想される。

YKK APは国内3工場に内窓の生産ラインを新設し、生産能力を従来比約1・5倍、補助事業開始前と比べ約4・5倍の生産能力で臨む。23年度中に新規採用も行った。また、大開口の窓でも付け替えられる樹脂窓などの新製品を投入した。

三協立山は具体的な生産能力は非公表だが、供給体制に関して「より強化していく」(同社)とし、在庫の積み上げや生産能力の増強などを検討している。

一方でLIXILはリフォーム用樹脂窓のラインアップを拡充して備える。生産能力の増強は「現時点で計画はない」(同社)とする。

断熱効果の高い樹脂窓に注目が集まるのに加え、業界内では居住時のCO2排出量ではなく、建設時のCO2排出量(エンボディドカーボン)を削減できるリサイクル素材を用いた製品や日射熱を効率的に取り入れる製品などの提案を強化する動きも出てきた。日本サッシ協会などは定量的なリサイクル目標などを定めた「樹脂窓リサイクルビジョン」を打ち出した。

企業でもYKK APは日射熱の取得率の高い新製品を投入。LIXILは気候に応じて住宅の一生に発生するCO2量を計算し、最もCO2排出量が少なくなる窓の提案を進めることを宣言した。

これらの製品は高価格で、一般住宅に普及するにはまだ時間を要しそうだ。各社は補助事業に対応しながら、次の段階の製品開発・提案を始めている。