化学業界「CFP算定」裾野拡大なるか、住友化学と日化協が取り組み活発化

日本化学工業協会(日化協)と住友化学が、化学業界におけるカーボンフットプリント(CFP)算定の取り組みを活発化している。住友化学は日化協を通じ、自社で手がけたCFP算定システムの無償提供を継続。CFPの算定を脱炭素化の実現に欠かせない要素と位置付け、裾野の拡大に寄与する考えを示す。CFP算定のさらなる普及促進や、事業性を含めた持続可能な活動への発展も重要性を増している。(山岸渉)

住化、システム無償提供

「CFP-TOMO」の操作画面

脱炭素化の実現に向け、原料から製造、廃棄に至るまでに排出された二酸化炭素(CO2)の出どころを調査・把握するCFPの重要性が高まっている。特に幅広い業界に素材を供給する化学産業にとって、CFP対応はサプライチェーン(供給網)の維持など経済安全保障の観点からも欠かせない課題だ。

住友化学は全社横断のワーキンググループを組織するなど、CFP算定の“見える化”に取り組んできた。こうした中、2021年末に開発したのが約2万品目に上る同社の全製品について計算を完了したCFP算定システム「CFP―TOMO」だ。

CFP―TOMOはさまざまな副産物の発生など、化学品の製造プロセスを踏まえたCFP算定に対応する点を特徴としている。まずは裾野の拡大が重要と捉え、22年から無償提供を始めた。

日化協、ガイドライン策定

日化協では業界内のワーキングメンバーと議論を重ね、23年3月には化学産業における製品のCFP算定ガイドラインを公開。併せて日化協を通じたCFP―TOMOの無償提供も進め、すでに化学会社を中心に約100社が導入を決めた。

CFP算定のガイドラインを策定したことは、課題の明確化や人材育成で一定の成果を上げた。一方、さらなる普及促進には課題が残る。例えばCFPの知見が少ない中堅・中小化学メーカーにもガイドラインをわかりやすく理解してもらうために、新たなマニュアルの策定を想定する。

日化協技術部の藤井宏行部長は「ライフサイクルアセスメント(LCA)視点で考えなければ、カーボンニュートラルは実現できない」と強調する。LCA全体で捉えた場合、業界内外でCFPデータを共有するような連携も不可欠だ。CFP算定に関する裾野をより広めることの重要性が増している。

この先もCFPの取り組みを持続していくためには、CFPを算定した製品の提供に付加価値をつけるなど事業性の確立も課題となってくる。裾野を広げつつ、持続可能な取り組みとすることでカーボンニュートラルの実現が近づく。

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